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そもそも中東とは? よくある疑問を【ひとこと解説】~資源・経済編

2024年7月30日更新

中東エリアは古代からの歴史は長く、近年では紛争などの悪いニュースが絶えませんが、時の流れにおいて様々な事象が絡み合って現代にいきついています。
悪いイメージに偏りがちな現状を踏まえながら、皆さまに中東に対して新しい視点や違った価値観も持っていただきたい思いから、この記事を書いています。

今回は中東の経済や資源について基本的なことを"ひとこと"で簡単に解説します。

らくだの昼寝

目次

1. 中東の主要な資源とは?
 ・石油と天然ガスの重要

2. 石油産業の歴史は?
 ・石油発見の歴史
 ・主要な産油国とその影響

3. 経済構造と方向性は?
 ・資源依存型経済の特徴
 ・非石油産業の発展

4. OPECとは何か?
 ・OPECの役割と歴史
 ・世界経済への影響

5. 経済発展と今後の課題とは?
 ・経済成長の現状
 ・雇用と社会問題

6. 中東と日本の関係性は?

多くの方が抱いていると思われる疑問に答える形で理解を深めるきっかけにして頂けたら幸いです。

 

1. 中東の主要な資源とは?

石油と天然ガスの重要性

中東と言えば最初に思い浮かぶのが石油と天然ガスです。これらの資源は地域の経済の中心であり、世界的なエネルギー供給にも大きな影響を与えています。
 ・石油:中東には世界の確認埋蔵量の約50%が存在し、特にサウジアラビア、イラン、イラク、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)が主要な産油国として知られています。これらの国々は石油輸出によって国家収入の大部分を得ています。
 ・天然ガス:カタール、イラン、サウジアラビアが主要な生産国です。カタールは液化天然ガス(LNG)の最大の輸出国の一つとして知られています。
 ・鉱物資源:中東には金、銀、銅、鉄鉱石などの鉱物資源も豊富です。これらの資源は地域の経済において重要な役割を果たしています。

 

2. 石油産業の歴史は?

石油発見の歴史

中東の石油産業は20世紀初頭に始まりました。特に1930年代にサウジアラビアでの石油発見が大きな転機となり、その後の経済発展に大きな影響を与えたのです。
 ・1908年:イランで最初の大規模な石油が発見されました。この発見はイランの石油産業の発展の礎となりました。
 ・1938年:サウジアラビアでの石油発見が中東の石油産業の大きな転機となりました。この発見によってサウジアラビアは世界有数の産油国となり、国際石油市場における影響力を持つようになりました。

油田のポンプ イメージ

 

主要な産油国とその影響

 ・サウジアラビア:世界最大の石油輸出国のひとつであり、石油収入は国家財政の主要な部分を占めています。
 ・イラン:豊富な石油と天然ガスの埋蔵量を持ち、国内外でのエネルギー供給に重要な役割を果たしています。
 ・イラク:石油埋蔵量が多く、石油収入が国の経済に大きな影響を与えています。
 ・クウェート:石油輸出に依存しており、国の経済活動の大部分を石油産業が支えています。
 ・UAE:アブダビを中心に石油産業が発展しており、観光業や金融サービスなどの他の産業も発展しています。

石油の発見とその後の開発は中東地域全体の経済を大きく変え、世界市場においても重要な役割を果たしています。

3. 経済構造と方向性は?

資源依存型経済の特徴

中東の経済は主に石油と天然ガスの輸出に依存しています。この依存度は非常に高く、資源価格の変動が経済に直接影響を及ぼします。
 ・石油:多くの中東諸国は石油収入に依存しており、公共財政や経済成長の主要な原動力となっています。例えば、サウジアラビアの国家予算の大部分は石油収入によって賄われています。
 ・天然ガス:カタールやイランなどは、天然ガスの輸出によって大きな収入を得ています。

 

非石油産業の発展

最近では、観光業、金融サービス、IT関連などの非石油産業の発展が戦略的に進められており、経済の多様化が図られています。
 ・観光業:UAEのドバイでは観光業の発展に力を入れており、高級リゾートやショッピングモール、観光名所の開発が進んでいます。
 ・金融サービス:バーレーンやカタールは金融サービスのハブとして成長した経緯もあります。
 ・IT産業:サウジアラビアやUAEはIT産業の開発や発展に注力しており、人材の育成やデジタルインフラの整備が進められています。

化石系燃料資源依存からの脱却を目指し、多様な経済構造の構築が進められています。

砂漠の観光業


4. OPECとは何か?

OPECの役割と歴史

OPEC(石油輸出国機構)は石油政策を調整し、国際石油市場の価格安定を図るために設立された国際組織です。1960年にイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5ヶ国によって設立されました。
 ・OPECの役割:加盟国の石油生産量を調整し、石油価格の安定を図ることを目的としています。これにより加盟国の経済的利益を守り、石油市場のバランスを保つことが目指されています。
 ・OPECの歴史:OPECは石油価格の変動に対応するために様々な政策を実施してきました。例えば、1970年代のオイルショック時に石油価格の急上昇が引き起こされたなどです。

 

世界経済への影響

OPECの決定は国際石油市場に大きな影響を与え、石油価格の変動を通じて世界経済に影響を及ぼします。
 ・石油価格の調整:OPECは加盟国の生産量を調整することで、石油価格を調整しようとしています。これにより石油価格の急激な変動を防ぎ、世界経済の安定に寄与しています。
 ・市場への影響:OPECの政策変更は石油輸入国や石油関連産業に大きな影響を与えるため、世界中の政府や企業が注目しています。

OPECは国際石油市場の主要プレーヤーとして重要な役割を果たしているのです。

5. 経済発展と今後の課題とは?

経済成長の現状

中東は石油収入による経済成長を遂げてきましたが、いくつかの課題も抱えています。
 ・経済成長:サウジアラビアやUAEは石油収入を基に急速な経済成長を遂げています。特にインフラの整備や都市開発が進んでいます。
 ・多様化戦略:サウジアラビアの「ビジョン2030(脱石油依存経済/雇用の創出など)」のように、産業や経済の多様化を目指す戦略が進められています。

 

雇用と社会問題

若年層の高い失業率や労働市場のミスマッチなど、経済成長の陰で社会問題も存在します。
 ・若年層の失業:中東の多くの国では若年層の失業率が高く、教育と雇用のミスマッチが問題となっています。これに対する対策として、教育改革や職業訓練の強化が求められています。
 ・女性の社会進出:中東では女性の社会進出が進んでおり、教育や職場での地位向上が図られていますが、依然として課題が残っています。

6. 中東と日本の関係性は?

中東と日本はエネルギーや経済面で重要な関係を築いています。

 ・エネルギー輸入:日本は石油輸入に関する中東への依存度が高く、サウジアラビア、UAE、カタールなどが主要な供給国です。このため、中東の安定は日本のエネルギー安全保障にとって極めて重要です。
 ・経済協力:日本と中東諸国は経済協力を強化しており、インフラ整備、技術協力、投資などの分野で連携が進められています。特にサウジアラビアの「ビジョン2030」では日本の成長戦略とも親和性が図られ、エネルギーやインフラ開発の技術とノウハウも活用されています。
 ・文化交流:日本と中東の文化交流も盛んであり、相互理解と友好関係の深化が図られています。

 

◆資源・経済編

中東の資源や経済について簡単ですが私たちの理解や解釈をひとこと解説にまとめました。

次回以降の記事では中東の観光名所やその他の文化についてもひとこと解説をしていきます。

お楽しみに。

 

◆中東の定義、歴史と文化編こちら

◆宗教、政治・社会編こちら

◆観光と名所編こちら

 

そもそも中東とは?、今回のテーマは以上です。
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