「チキン入りのデザート?」
「そう。」
「チキン?」
「チキン。」
「デザートにチキンが入ってるの?」
「そうだよ、チキンが入っているんだよ。」
「デザートなの?」
「そう、これはデザート。」
「チキンが入って、甘いの? しょっぱいの?」
「甘いよぉ。」
鶏肉が入ったデザートなんて、どうしても信じられなかったSunaoです。
こんにちわ。
鶏肉をデザートに入れるという発想がどうしても受け入れられなくて、
英語の「chicken(チキン)」は鶏肉という意味以外に何かかあるのかもしれない、
この友人がチキンという言葉を間違えて使っているのかもしれない、、
鶏肉が入っているのに、甘い?
「スイーツを食べるよ。」と言って連れてきてくれたお店なのに、鶏肉?
なぜ鶏肉をデザートに入れたの・・・?
少し混乱してしまいました。
牛乳プリンっぽい KAZANDIBI(カザンディビ)
トルコでのイートインの喫茶店でのお話。
スイーツを食べようと現地の友達に連れてきてもらったお店です。
見た目はクリーミーで美味しそうなミルクプリンのようなスイーツ。
レバノンでも似たようなスイーツを食べたことがあり、何も疑わずに友達がおすすめしてくれた「カザンディビ」を注文しました。
提供前に店員さんがたっぷりとシナモンをかけてくれて
ワクワクして「美味しそう」とテラス席に移りました。
甘い香りと美味しそうなスイーツを前にして何も疑う余地はなかったのです。
ところが――
スプーンを入れようとすると、
「このスイーツにはチキンが入っているんだよ。」
「えぇっ、鶏肉?? チキン入りのデザート?」
混乱して質問を繰り返すと友人は笑顔で優しく説明してくれました。
これはトルコの伝統的なデザートで、リアルに鶏肉が入っているとのこと。
私は怪訝な顔をしていたかもしれませんが、意を決して一口食べてみました。
もっちりねっとりなミルク味のケーキのような、牛乳プリンのような味。
柔らかくて普通においしかったんです。
そして確かに、口の中で柔らかい鶏肉の繊維を感じました。
材料は、鶏肉、米粉、牛乳、砂糖だそう。
もちもちとした食感とミルクの甘さが広がり、ケーキともプリンとも言えないような不思議な味わい。
期待通りに美味しかったのですが、やはり「なぜ鶏肉?」という疑問は拭えませんでした(笑)
「鶏肉無しでもいいんじゃないの?」
チキンの謎と伝統:タヴュク・ゴーシュスの歴史
ここで少しの後日談。
この不思議なスイーツ「カザンディビ」について、ひとこと解説しましょう。
カザンディビはトルコで伝統的でポピュラーなスイーツの一つで、「鍋の底」という意味の由来をもちます。
プディングを作る際に鍋の底を焦がすイメージからきているようです。
一般的には鶏肉は使わず、ミルク、砂糖、米粉などの材料を使って煮詰めて作るシンプルで甘いデザートです。
一般的に、鶏肉は使わず、、、?
では、トルコで私が食べたカザンディビにはなぜ鶏肉が入っていたのでしょうか?
その理由は「タヴュク・ゴーシュス (Tavuk Göğsü)」というオスマン帝国時代から伝わるスイーツにあります。
タヴュク・ゴーシュスは、鶏肉(特に胸肉)を使った伝統的なデザートで、牛乳と米粉、砂糖を煮詰めて作ります。
鶏肉の繊維が細かく裂け、クリーミーなプディングに混ざり、独特の食感を生み出します。
このデザートは宮廷料理として提供されていたこともあり、高級感あふれる一品でした。
このタヴュク・ゴーシュスがカザンディビの元となるデザートで、焦がした表面が特徴のカザンディビのバリエーションの一つとしてあるものです。
つまり、私が食べたのはタヴュク・ゴーシュスがベースにある伝統的なスタイルの「鶏肉入りカザンディビ」だったのです。
チキンなしのカザンディビもある
鶏肉を使わないカザンディビも多く作られているそうです。
牛乳、米粉、砂糖を使ったシンプルなミルクプリンで、多くのレストランで提供されています。
シェフである友人はかつて東京都内のトルコレストランで働いていました。
このスイーツをチキン抜きで作っていたそうで、
「チキン無しも普通においしい。」
と言っていました(笑)
というか、むしろ現代のカザンディビはチキン抜きが主流なのでしょうか。
まとめ
私が今回体験したようにチキン入りのカザンディビに出会ったら、それはちょっとした驚きのある特別な体験かもしれません。
もしトルコに行くことがあれば、ぜひ一度この不思議な「チキン入りデザート」を試してみてください。
「KAZANDIBI(カザンディビ)」です。
思わぬ味わいと出会えるかもしれません。
ただし、鶏肉入りの伝統的なタイプかどうかを確認することをお忘れなく!
今回の記事は以上です。
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