ざくろのイメージ

美の源流は中東にあり?【ざくろ】女性に愛される赤い果実の歴史と文化を探る

赤く艶やかな果実「ザクロ」。

少々食べにくいスタイリングではあるものの、その深い色と甘酸っぱい味わいに惹かれてジュースやスイーツとして親しまれている方も多いのではないでしょうか。

ざくろ

健康や美容への効果で話題になる果物ですが、実ははるか古代の中東を起源とし、豊かな文化や歴史とともに人々に愛されてきた存在です。

この記事ではザクロに込められた中東の物語と、現代の私たちの暮らしとのつながりをご紹介します。

 

中東が育んだ“聖なる果実”

ザクロ(pomegranate)は、イランやアフガニスタンの辺りを中心とした古代ペルシャ地域が原産とされ、4000年以上も前から人々に親しまれてきました。

旧約聖書やコーランにもその名が記され、「楽園の果実」として崇められていたザクロは、宗教的にも文化的にも高い象徴性を持っているといえます。

ざくろ

例えば、ユダヤ教ではザクロの実が613粒あると信じられており、これは律法の数と一致するそうです。

またイスラム文化においても神からの祝福を意味する果実とされ、多くの詩や物語の中でもその存在が謳われています。
結婚式や新年のお祝いの場でザクロを割る儀式は「繁栄」や「平和」などへの祈りが込められた風習です。

 

豊穣を描いたザクロの文様

その文化的意味は、暮らしの中の装飾にも色濃く表れています。

オスマン帝国時代のタイルやペルシャ絨毯には、ザクロの実や葉がモチーフとして頻繁に登場するそう。

艶やかで丸みを帯びたその姿は、豊かさや永続性を視覚的に表現するデザインとして重宝されてきました。

ザクロのデッサン
ざくろ柄

また、中東の手工芸品ではザクロ柄の刺繍が布製品や衣装、装飾品にあしらわれ、「守り」や「祝福」の意味を込めて女性たちの手で受け継がれてきました。

こうした文化背景を知ることで、ザクロという果実の奥深さと美的価値をより感じることができるのではないでしょうか。

 

雑貨に宿る祈りと美しさ

このザクロの象徴性は現代の雑貨やクラフトにも受け継がれています。

深紅の実を模した金属加工やガラス細工、小物入れや刺繍商品など、ザクロは視覚だけでなく感性に訴えるモチーフとして、暮らしの中に“ストーリー”を届けてくれます。

ざくろの小物入れ

アクセサリー
飾る×まとめる

ざくろの小物入れ

 

健康と美の象徴としてのザクロ

近年では、その高い抗酸化作用や美容効果にも注目が集まっています。

ポリフェノールやビタミンCが豊富に含まれ、血流改善やアンチエイジング、肌の保湿効果など、特に女性に喜ばれる栄養素が詰まっています。

ざくろドリンク

公的な研究機関の報告では、ザクロの摂取が心血管の健康維持や血圧低下にもつながる可能性が示されており、古くから薬用果実として扱われてきた背景にも科学的な裏付けが加わりつつあります。

ザクロと女性

 

フェセンジャン、家庭の味に息づくザクロの力

食文化でもザクロは欠かせない存在です。

とりわけイランの伝統料理「フェセンジャン(Fesenjan)」は、ザクロの甘酸っぱさが生かされた代表的な一皿。

鴨肉や鶏肉を炒め、クルミのペーストとザクロ濃縮果汁(モラセス)でじっくり煮込むこの料理は、深みのある酸味とコクが絶妙に絡み合い、冬のごちそうとして親しまれています。

フェセンジャンは、イランの新年や結婚祝いなど、ハレの日の定番料理でもあり、ザクロのもつ「祝福」の意味が料理にも色濃く反映されています。


ザクロとくるみの
味わいが魅力

フェセンジャン

このように、果実としてだけでなく文化的・精神的な象徴としてもザクロは中東の家庭の食卓で愛されてきたのです。

 

美と祈りを宿す果実を、暮らしの中へ

ザクロは中東という歴史と信仰の重なる土地で、人々の祈りや願いとともに育まれてきた果実です。

その美しさ、深い意味、そして現代に通じる健康的価値は、ただの“果物”を超えた文化的な存在といえるでしょう。

私たちの暮らしにザクロのように静かに心を潤す存在を取り入れてみませんか?

その赤い実の奥に、古代から受け継がれる知恵と美意識がそっと寄り添ってくれるはずです。

 

今回のお話は以上です。

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