中東エリアは古代からの歴史は長く、近年では紛争などの悪いニュースが絶えませんが、時の流れにおいて様々な事象が絡み合って現代にいきついています。
悪いイメージに偏りがちな現状を踏まえながら、皆さまに中東に対して新しい視点や違った価値観も持っていただきたい思いから、この記事を書いています。
1. はじめに
「ハラール」とはイスラム教において許可された食品や行動を指す言葉です。
今回は「ハラール」の基本概念、食文化における制限、認証食品についてカンタンに分かりやすく解説します。
ケバブ屋さん |
アジア系食材屋さんのノボリ |
「ハラール」の背景を理解し、中東の文化をより深く知る手助けとなれば幸いです。
2. ハラールの基本概念
『ハラール(Halal)』という言葉はアラビア語で「許された」や「合法的な」を意味します。
イスラム教徒にとって日常生活において守るべき重要な概念です。
一方で『ハラーム(Haram)』は「禁じられた」ことを指し、これら二つの概念は基本的な教義でもあります。
イスラム教徒は神(アッラー)からの指示に従って生活し、食事もその一部とされます。
ハラールは単なる食事の選択肢ではなく信仰そのものを実践するための手段ともいえます。
ハラール食品は神の意志に従い、安全で清潔なものとして信じられています。
それに反してハラームは宗教的に不適切とされ、避けるべきものとされているのです。
このハラールとハラームの概念はコーラン(クルアーン=イスラム教の聖典)やハディース(預言者ムハンマドの言行録)に基づいています。
これらの教えはイスラム法として体系化され、イスラム教徒の生活全般にわたって影響を与えています。
認識の薄い私からすると、法律にもなっているイスラム教の定めの厳格さを想像させられます。
3. ハラール食の制限
ハラール食品にはいくつかの制限があります。
最も代表的で分かりやすいのは、豚肉やアルコールが『ハラーム』とされ摂取することが禁止されています。
これには宗教的な背景があります。豚は不浄と考えられ、アルコールは意識を混乱させ道徳的な判断を曇らせると考えられています。
また、食肉用動物の屠殺(とさつ)方法にも厳しい規定があり、イスラム法に則った方法で処理された肉のみがハラールであることを認められます。
食肉を清潔で健康的であるものとするための手順です。
神への感謝を表明し、鋭利で適切な道具を使うなど動物に対する苦痛を最小限に抑えることを目的としています。
これらの制限には宗教的な理由だけでなく健康面での理由も存在します。
ハラール食品には認証基準があり、鮮度面でも安全な食べ物を提供するための基準として機能しています。
屠殺の手順には細菌の繁殖を抑え、食肉の衛生状態を保つための工夫も盛り込まれているのです。
さらにイスラム教徒は食品添加物にも注意を払います。
ゼラチンや、チーズ製造に使われる酵素は豚や子牛から採取されることがありますが、その動物が適切な手順で屠殺されているかも重要なのです。
一般的に市販されているバニラエッセンスにはアルコールが含まれていたり、調味料や保存料にも微量のアルコールが含まれることがありますが、これらも最終的な濃度を定めるなどハラール認証を受けたものが選ばれます。
ですからハムやソーセージなどの加工食品はもとより、場合によっては動物由来の添加物やアルコールを含む調味料などは避ける必要があります。
4. ハラール認証のプロセス
ハラール認証は消費者が安心して食品を選ぶための重要なプロセスで、消費者に保証と信頼を与えるものです。
認証機関は各製品がイスラム法に適合していることを確認し、認証マークを付与します。
そのプロセスには原材料の確認、生産プロセスの監査、最終製品の検査などが含まれます。
認証取得にはコストや時間がかかるため、小さな企業にとっては挑戦となることもあります
5. ハラール食品の現状と市場動向
近年、ハラール食品の市場は拡大しています。
世界中でイスラム教徒の数が増加していることに伴い、ハラール食品の需要も高まっているのです。
この日本においても観光業の発展や在留者が増えることで、飲食業界のハラール対応が進んでいます。
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ハラール認証を取得した食品企業はグローバルな市場での競争力を強化することができるでしょう。
6. まとめ
ハラールとは何か、その基本概念から食文化の制限、ハラール認証についてを簡単に解説しました。
ハラール食品の利点や市場動向を理解することで、文化に対する理解が深められたら良いと思いますし、
今後も情報を発信することで皆様と情報や思いを共有していきたいと考えています。
よろしければ、感想などをお寄せいただけると嬉しいです。